2022年2月28日 / 最終更新日時 : 2022年3月7日 高野 日々と書 イノシシと下山して、バターナイフをつくった 尾根での邂逅 足跡のない尾根を進んだ。尾根の西側は比較的緩やかな勾配で、杉造林地が広がっているが、東側は急峻で、ほとんど崖っぷちまで行かないと斜面が見えないほどだった。葉を落とした木々の先に茶色い犬が見えた。白い雪のな […]
2022年2月24日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 スプーンづくりと「ロビンソン・クルウソオ」 定住という冒険 「冒険は漂流にではなく、むしろ定住にある。」ということばがある。花田清輝が「ロビンソン・クルウソオ」という文章のなかで言っている。 すでに新訳版の登場によって絶版になっていた吉田健一訳の新潮文庫『ロビン […]
2022年2月19日 / 最終更新日時 : 2022年3月6日 高野 日々と書 陽だまりと『時をたたせる為に』 二つの冬 「冬が来た」 さいたまにいるころに読んで、なんとなしに気にかかっていたラフォルグの「冬が来た」という詩を、こっちで読みなおしたら、よくよくひびいた。 公園のベンチは濡れていて、もう腰掛けることが出来ない。もう […]
2022年1月8日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 日々と書 被告サルと『動物裁判』 いつだったか、わたしがサルの駆除に取り組んでいる話をしている際、「サルとの争いは、平和の可能性のない争いであることが、なにより苦しい。」と言うと、みんなはわたしがかるい冗談を言ったかのように湧いて笑った。いつ思い出して […]
2021年12月23日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 日々と書 狸よ、ごちそうさま タヌキが罠にかかったと連絡があった。止め刺しに同行させてもらった。ひとしきりの血生臭いことは割愛して、とにかくわたしは、その後脚の一本を分けてもらった。 家にかえって、庭の雪をかき分けて、2列にレンガを積み、間で火を熾 […]
2021年12月9日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 クロモジの楊枝 山の下草刈りをしているとき、腰の後ろでうなる仮払機のエンジンの排気の匂いや、細切れになって飛んでくる若葉の青く苦い匂いにまじって、ときどき爽やかな香りがただよってくることがある。夏に炎天とエンジンの排熱とで焼けつくよう […]
2021年11月13日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 日々と書 イノシシの燻製、失敗 11月3日、イノシシ肉を分けてもらった。イノシシに荒された畑に点々と残されていたハーブを摘んで、刻んで塩に混ぜ、肉を漬けた。 11月11日、塩抜きのため流水に浸け、室内に干した。 1日半ほど乾燥させて、きょう燻製し […]
2021年8月23日 / 最終更新日時 : 2021年9月16日 高野 日々と書 大土町訪問と『日本の野菜』 加賀の重要伝統的建造物群保存地区に指定されている東谷地区の一つ、大土町を訪ねました。 大土町へと続く道は鬱蒼として木々は日を遮り、晴れの昼間にふさわしからぬ薄暗さでした。左手に流れる川の水面が日差しを砕いて投げ返す光 […]
2021年8月19日 / 最終更新日時 : 2024年4月6日 高野 日々と書 美の配置 牧山町を訪ねました。曇り空は酷夏の日射を遮る日傘で、なだらかに広がる棚田で実りはじめた稲穂が涼んでいた。 さまざまにお話を聞いた後で、庭や家の付近を案内してもらった。そこで見つけたものに、わたしは惹きつけられた。 […]
2021年8月9日 / 最終更新日時 : 2024年4月6日 高野 日々と書 柳田再訪と「生霊」 柳田の炭焼き窯を再訪した。とくに用といった用もなく、ただ彼女の能登の実家に帰省した折、足を伸ばして挨拶に向かった次第で、炭焼きをテーマに卒業論文を用意している学生も同行した。 新しいのを作ろうかと密かに準備を進めてい […]