2024年3月5日 / 最終更新日時 : 2024年8月7日 高野 小さな林業 斧の音 「煙草」 森のなかにいるとときどき斧の音というものを思い出すことがある。斧が木をうつ響きは耳にしたことがなくて、だから、思い出すのは斧の音の姿である。 さいたまにいたころは、昔の広葉樹林がそのままにしてあってそれがい […]
2023年5月25日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 加賀の森林の感想、ならびに木の葉と鳥の糞尿のこと 風の前の木の葉に似たる人 マルクス・アウレーリウスは『自省録』の第10巻34で『イーリアス』を引用しながら、世のはかなさについて自分自身に説いている。 「まことの信念に身を咬まれている者にとっては、ごく短い、陳腐な言葉 […]
2022年11月17日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 塗ることと塗らないこと 塗ること 多和田葉子は『溶ける街 透ける路』の「ベルリンⅠ」で、ある一つの思い出について記している。 新しい家に引っ越すとドイツ人はさっそく壁にペンキを塗り始める。もし壁が傷んでいれば壁紙を貼るところから始める。ごく […]
2022年3月15日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 雑木の製材 木工所のバンドソーをお借りして、丸太を挽かせてもらった。 せいぜいふくらはぎ程度の太さでしかない木から板が製材できた。表面に繊維状の屑がついていたが、きれいな材だった。隣の電動かんなをかけてもらうと、たちどころに光沢 […]
2022年2月24日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 スプーンづくりと「ロビンソン・クルウソオ」 定住という冒険 「冒険は漂流にではなく、むしろ定住にある。」ということばがある。花田清輝が「ロビンソン・クルウソオ」という文章のなかで言っている。 すでに新訳版の登場によって絶版になっていた吉田健一訳の新潮文庫『ロビン […]
2021年12月9日 / 最終更新日時 : 2023年8月2日 高野 小さな林業 クロモジの楊枝 山の下草刈りをしているとき、腰の後ろでうなる仮払機のエンジンの排気の匂いや、細切れになって飛んでくる若葉の青く苦い匂いにまじって、ときどき爽やかな香りがただよってくることがある。夏に炎天とエンジンの排熱とで焼けつくよう […]
2021年4月20日 / 最終更新日時 : 2021年7月5日 高野 小さな林業 内川とたけのこのこと 内川のたけのこ 私たちが食べているたけのこを産する竹は孟宗竹で、日本の在来でなく、中国南部原産です。日本に輸入されたいわれは諸説紛糾しているので触れないことにして、金沢に孟宗竹が移入された経緯はというと、こちらは記録と […]